10月21日と22日に川崎市で開かれた日本エスペラント大会に行ってきました。ホール、大会議室、小会議室、多目的室の4つの部屋でプログラムが並行して行われ、他にサロンでは図書販売が行われていました。会場の他にZOOMを使ってオンライン参加もできました。
主としてホールの番組に参加しましたが2,3の分科会にも参加することができました。
タイトルの言葉はトニー・ラズロさんの発言です。
漫画『ダーリンは外国人』の主人公のモデルとなった本人です。二日目の公開講演「多文化共生、多言語・複数言語教育」で前半は境一三さんという大学の先生の講演、後半はその先生とトニー・ラズロさんの対談でした。私は前半の時間は別の分科会を聞いていたので後半の対談の部分だけ聞くことができました。その対談の途中にトニーさんの「多言語教育」を受けた当人、その息子さんも紹介されました。
トニーさんは最後にエスペラントの良い所は「私は悪くない」と思えることだと話していました。外国語を学んでつまづくときは「その言語が間違っている」とわかるのだと。たしかに自然言語のように大勢の人々が共同で無意識のうちに作ってきた間違いは「間違い」といわず「例外」あるいは「慣用句」と呼びます。しかし外国人の学習者から見ればまぎれもなく「間違い」なのであり、そこで躓くのは学習者が悪いのではありません。それなのにネイティブに対して卑下しがちなのは割に合いません。エスペラントをやることで自信を持ってそう思えるということでした。
医学者・化学者分科会では「チャットGPT」が話題になりました。理論的に探究しようという姿勢の方もいましたが、むしろいろいろな使い方を試してみて、どういう性格のものかを肌で感じるのが良いのではないでしょうか。WindowsにはBing(あるいはCopilot)があり、最新版ChatGPTではないらしいですが、無料で十分に使えます。
英語や日本語ではすでにかなり精度があがってきて、どこまでが引用したものかどこからがAIによる構成結果なのか見分けがつかなくなっています。その点エスペラントではまだ情報が不十分なせいか、一読しておかしいと思える答えが返ってくることもあります。どういうときにどう間違えるかを実感しておくと比較的良い付き合いができるのではないでしょうか。ただしこれもそう長い間のことではないでしょう。部分的にはまだ自分の方が知識があると思える部分でいろいろ試してみると面白いと思います。
なお多くの情報源を示してくれるのでそういう点でも大いに役に立つと思います。
Bingの場合は情報源も表示してくれますので、疑わしい時は自分の目で確認できます。ついでにエスペラント学習を激励するようなお世辞まで付け加えてきます。
1.確かに「慣用句」の問題は根が深いと思われます。自身の母語が日本語なので、他の言語(英独仏伊デンマーク語等)はどうしても外から見る立場なので、今一つ、単語などの{ニュアンス}が判らず、困っていますね。どうしたらよいのでしょうか。やはり限りなくネイティブに近づく努力をしなければ、と考える今日この頃です。
2.まだ完全に「ChatGPT」を理解したわけではありませんが、「翻訳ソフト」と考えれば、Google翻訳などもそうですが、限られた分野の専門語などはやはり全然間違った翻訳がなされるようです(勿論、たまにあっている場合もある)。だから一旦は下訳をやらせても、全般的に校閲をしなければならないのが実情です。この点、いかがでしょうか?
たとえば「京の夢大阪の夢」をGoogle翻訳で訳すと”Sonĝo de Kioto Sonĝo de Osako”と答えてきます。なんじゃこれは?という答えですが、実を言うと日本語自体が意味をなしていません。正しく訳させるためには正しく質問しなければならないと思います。
最近、山川修一さんが「エスペラント現代用語集」という本を出版しました。新しい表現に対応するためです。
私が多少知るのはパソコンのことくらいですが、たとえばLinuxというOSをエスペラント語化したりLibreOfficeというオフィスソフトをエスペラント語化したり、とエスペランチスト達が地道に努力している様子が伺われます。おそらくさまざまな分野でこうした努力が行われているのでしょう。
こうした努力がやがてGoogle翻訳やChatGPTの精度にも反映していくと思います。
1.山川さんの「エスペラント現代用語集」はとても立派な本で、いろいろな示唆を受けること大です。このような辞書(辞典)がある事が大切ですね。
2.私もあまりIT関係は詳しくありませんが、例えば、Google翻訳で正しく訳されない場合は、正しい訳をフィードバックしています。おそらく、このような地道な活動が精度向上につながるのだと思っております。だから、皆様もどしどしと正しい翻訳をサイトにあげればよいと思われます。