そっと侵入

私が住んでいる集合住宅で4年ぶりに文化祭が開かれた。文化祭と言ってもごくミニサイズのものでここのサークルのうち3団体が参加しただけである。絵画、写真は眺めても楽しめるがエッセーとなると読まなくてはならない。高齢者の多い住居で文字だけの展示があってもこれはなかなか辛いものがある。高校では文芸部というと変わり者の集団と見られることが多いが、幸いここではそれほどではない。座り込んでおしゃべりをするスペースとなったが、それはそれでよい。そして、その一角になんと「エスペラントで発信中」なるコーナーがちゃっかりできていたのである。

それほど注目は集めなかったが、何人かは気づいて質問してくれた。これは私がエスペラントの練習のために作ったサイトである。サークルの人たちのエッセーを訳させてもらって掲載している。タイトルは”Eseoj de najbaraj geonkloj“である。散歩中に見かけたことや、思い出をつづっているものなので当人とサークル仲間以外の興味を引き起こす内容ではない。また、私の訳も拙いし、きっと間違いが多い。サイトの作りも素人感満載である。しかし、エスペラントの練習としては非常に良い題材になっている。くせのあるいいまわしや駄洒落、日本独自の様々なこと、そうしたこともエスペラントで表現できますと示せないとなかなか胸を張って他人に勧められない。といっても実際にはそこまではまだ遠い道のりで、そこにたどり着く前に私は別世界に行ってしまうだろう。
とりあえずは「エスペラントって聞いたことあるよ」という人たちに「いや実際、ここにあるのです」と知らせるために設置した。

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