テキスト
— Mi tre bedaŭras, — malrapide komencis la mastrino, — sed en la nuna momento mi scias nenian lokon, kiu povus taŭgi por vi… Ŝi finis, kaj ŝi staris nun kun manoj kunmetitaj sur la talia parto de sia cindrokolora vesto, tre klare atendante adiaŭon. Sed la maljunulino sidis kiel alforĝita al la loko, ŝiaj ĝis nun moviĝemaj manoj kaj okuloj rigidiĝis, dum la pala buŝo malfermiĝis.
— Nenian! — ŝi elmurmuretis post momento… — nenian! — ŝi ripetis, kaj rigide, kvazaŭ movita de ia forto sendependa de ŝi mem, ŝi malrapide leviĝis de la seĝo.
Ŝi tamen ne foriris. Ŝiaj palpebroj ŝvelis, la pupiloj kovriĝis per vitreca vualo. Ŝi apogis la tremantan manplaton sur la brakparto de la seĝo kaj diris mallaŭte:
— Eble poste… eble iam poste… estos ia loko…
— Ne, sinjorino, promesi mi ne povas, — respondis la mastrino monotone, ĝentile, sed rigide.
訳
(SJ)
「私はとても残念に思っています。」女主人はゆっくりと語り始めた。「しかし今の時点では、私はあなたのために役に立つどのような場所は知らない。」
と彼女は言い終え、そして今、自分の灰色の服の腰の部分に手(両手)を組んで、別れを明らかに待ちながら立った。しかしその老婦人はその場所へくぎ付けされたように座っていた。彼女の今動いでいる手と目は止まった。一方その青白い口は空いた。
「ないなんて!」彼女は一瞬のあとつぶやいた。「どんな場所もなになんて!」
彼女は繰り返した。そしてぎこちなく、まるで彼女自身から独立した何かの力によってうごかされたかのように、のろのろと椅子から立ち上がった。彼女はしかしながら去らなかった。彼女の瞼は膨らみ、その瞳は涙が覆った。..彼女は椅子のひじ掛けの上に震える手のひらを支え、そして小声で言った。
「多分 また!、多分いつか どこかの場所で!」
「いいえ、奥様、私は約束することができない。」
と女主人は単調に答えた。丁寧に。しかしぎくしゃくした感じで。
経過
1. Mi tre bedaŭras
(SJ)
私は とても後悔している。
(TM)
Mi tre bedaŭras
私は とても後悔している。●bedaŭri は後悔するの他、残念に思うとも訳せます。
(SJ)
私はとても残念に思っています。
2. -malrapide komencis la mastrino,
(TM)
-malrapide komencis la mastrino,
●mastrino はmastrino de la oficejo です。主婦は dommastrino
(SJ)
主婦はゆっくりと語り始めた。
(TM)
-malrapide komencis la mastrino,
主婦はゆっくりと語り始めた。
(SJ)
女主人はゆっくりと語り始めた。
3. -sed en la unua momento mi scias nenian lokon, kiu povus taŭgi por vi….
(TM)
-sed en la nuna momento mi scias nenian lokon, kiu povus taŭgi por vi….
● unua →nuna ●nenia とnenioの違いを考慮してください。
(SJ)
しかし最初の瞬間に私はあなたのために訳に立つことができる場所を何も知らない。
(TM)
しかし最初の瞬間に私はあなたのために訳に立つことができる場所を何も知らない。
役に立つ
⁂上記の部分を見直したら会話の主が逆転するので違った訳文になると思います
(SJ)
しかし今この瞬間私はあなたのために訳に立つことができる場所を私は(女主人)は何も知らない。
(TM)
しかし今この瞬間私はあなたのために訳に立つことができる場所を私は(女主人)は何も知らない。momento は時点とも訳せます→今の時点では とした方が会話らしい。nenian lokon →~どのような場所も~
(SJ)
しかし今の時点では、私はあなたのために役に立つどのような場所は知らない。
4. Ŝi finis, ŝi staris nun kun manoj kunmetitaj sur la talia parto de sia cindrokolora sesto, tre klare atendante adiaŭon.
(SJ)
彼女は終え、そして立った。とてもはっきりと別れを待ちながらちょうど自分の灰色の服の腰の部分の上に組んで手で。
(TM)
Ŝi finis,kaj ŝi staris nun kun manoj kunmetitaj sur la talia parto de sia cindrokolora vesto, tre klare atendante adiaŭon.
● 最初の文、kaj が抜けています
●sesto→vesto
彼女は終え、そして立った。とてもはっきりと別れを待ちながらちょうど自分の灰色の服の腰の部分の上に組んで手で。
⁂会話をもう終了する場面です。文章を区切らない方がその場面を強く印象付けるのではないでしょうか。
(SJ)
と彼女は言い終え、そして今、自分の灰色の服の腰の部分に手(両手)を組んで、別れを明らかに待ちながら立った。
(TM)
良くなりました。
5. Sed la maljunulino sidis kiel alforĝita al la loko, ŝiaj ĝis nun moviĝemaj manoj kaj okuloj rigidiĝis, dum la pala buŝo malfermiĝis.
(SJ)しかしその老婦人はその場所へ強制されたように座った青白い口が空けている間、今まで動いていた手と目はくぎ付けにされた。
(TM)
Sed la maljunulino sidis kiel alforĝita al la loko, ŝiaj ĝis nun moviĝemaj manoj kaj okuloj rigidiĝis, dum la pala buŝo malfermiĝis.●alforghi → forghi (鋳造する)ion +al io 鋳造によって接合する→動けなくする、くぎ付けにする、
●sidi …座っている状態、座ったはsidighis
●Sed la maljunulino sidis kiel alforghita al la loko, で一つの文です。次の文、そしてdum以下の文となります。
dum には対比や対立の意味もあり, (一方、ところが、それに引き替え~) 手、目、口 を対比しています。
nenian! N に。
⁂ただ「ない」は面白くない、 少なくともどちらかの「ない」を別の言葉に置き換えてみて。
(SJ)
しかしその老婦人(女主人)はその場所へくぎ付けされたように座っていた。彼女の今動いでいる手と目は止まった。一方その青白い口は空いた。
(TM)
しかしその老婦人(女主人)はその場所へくぎ付けされたように座っていた。彼女の今動いでいる手と目は止まった。一方その青白い口は空いた。老婦人=女主人?
6. Ŝi elmurmuretis posta momento
(SJ)
彼女は一瞬のあとつぶやいた。
(TM)
Ŝi elmurmuretis posta momento
… ●post
彼女は一瞬のあとつぶやいた。
(SJ)
彼女はしばらくしてつぶやいた。
(TM)
良い訳です。
7. nenian!
(SJ)
ない。
なにもない! ※これで良いのでしょうか? な
(TM)
なにもないはnenio, nenian→どんな場所(教室)もないなんて!
(SJ)
どんな場所もなになんて!
※そうゆうことでね!やっとわかりました。すみません。
8. Ŝi ripetis, kaj rigide, kvazaŭ movita de ia forto sendependa de ŝi mem, ŝi malrapide leviĝis de la seĝo.
(SJ)
彼女は繰り返した。そして頑なに、まるで彼女自身から何から何か強い独立したものが動かされたか彼女はゆっくりと椅子から立った。
(TM)
Ŝi ripetis, kaj rigide, kvazaŭ movita de ia forto sendependa de ŝi mem, ŝi malrapide leviĝis de la seĝo.
●kvazauh ~かのように(自分の動きではないような動作、ギクシャクした感じ、)malrapide もゆっくりとは限らない、のろのろ、もありますね。
(SJ)
まるで何か強い自分ではないような動きを頑なに繰り返し、彼女はのろのろと椅子から立ち上がった。
(TM)
おやおや、最初の訳が変わってしましました。繰り返したのは何?後はいいですよ。
(SJ)
彼女は繰り返し、そして頑なに、まるで彼女自身の自立心が何か強く動かされたかのように、彼女はのろのろと椅子から立ち上がった。
※kvazaŭ movita de ia forto sendependa de ŝi mem ここの部分が分かりません。
de , de が2回使われているのと movita 、sendependa の2つの形容詞が??名詞は forto しかありませんし…
一応は訳してみましたがあってますか?
(UK)
Zamenhofの文は長い物が多く、どこで区切るかで分かり易くなったり分かりにくくなったりします。
Ŝi ripetis, kaj rigide, kvazaŭ movita de ia forto sendependa de ŝi mem, ŝi malrapide leviĝis de la seĝo.
まず、これは2つの文がkajで繋がっています。
Ŝi ripetis,(1つ目の文;nenian!というつぶやきを繰り返しました。)
kaj
rigide, kvazaŭ movita de ia forto sendependa de ŝi mem, ŝi malrapide leviĝis de la seĝo.(2つ目の文;老婦人が立ち上がる様子を描いています。)
2つめの文から飾りをとってしまうと。
Rigide, ŝi malrapide leviĝis de la seĝo. です。これだけなら本来は
Ŝi rigide (kaj) malrapide leviĝis de la seĝo.とすべきですが、
rigideがどんなふうにぎこちないかを強調して説明したかったので先頭に持ってきてrigide とkvazaŭで作った副詞句を並置しています。
movitaが受け身分詞なので何が何によって動かされたのかを見つけます。
Ŝi malrapide leviĝis de la seĝo.
rigide, kvazaŭ ↑ movita de ia forto(de:彼女がia fortoによって動かされた)
↑sendependa de ŝi mem (de:彼女自身から独立の力)
(SJ)
彼女は(どんな場所もないなんて!)と繰り返し、彼女が椅子からのろのろと立ち上がった硬さはまるで彼女自身からの独立した力によって動かされたかのようだ。
(TM)
SJさん、苦労のかいがあり納得できてよかったです。青色の訳はでもまだぎこちないですね。 以下に。
彼女は繰り返した、そしてぎこちなく、まるで彼女自身から独立した何かの力によって動かされたかのように、のろのろと椅子から立ち上がった。
ではどうでしょうか?
(SJ)
彼女は繰り返した。そしてぎこちなく、まるで彼女自身から独立した何かの力によってうごかされたかのように、のろのろと椅子から立ち上がった
8. Ŝiaj palpebroj ŝveli, la pupiloj kovriĝis per vitreca vualo.
(SJ)
彼女のまぶたは膨らみ、瞳はガラスのベールで覆った。
(TM)
Ŝiaj palpebroj ŝvelis, la pupiloj kovriĝis per vitreca vualo.
●ŝveli→ ŝvelis
彼女のまぶたは膨らみ、瞳はガラスのベールで覆った。
●ガラス状のベールつまりは涙のこと?
(SJ)
彼女の瞼は膨らみ、その瞳は涙が覆った。..
10. Ŝi apogis la tremantan mnplaton sur la brakparto de la seĝo kaj diris mallaŭte;
●manplaton
(SJ)
彼女は椅子から腕の一部の上に震える手を支え、そして小さい声で行った。
(TM)
Ŝi apogis la tremantan mnplaton sur la brakparto de la seĝo kaj diris mallaŭte;
●manplaton
彼女は椅子から腕の一部の上に震える手を支え、そして小さい声で行った。
●la brakparto de la segho. 椅子のひじ掛け部分
(SJ)
彼女は椅子のひじ掛けの上に震える手のひらを支え、そして小声で言った。
11. -Eble poste… eble jam poste… estos ia loko
(SJ)
多分 後に、多分いつか どこかの場所
(TM)
多分 また!、多分いつか どこかの場所で!
この辺りから最後はいいですね。
12. -respondis la mastrino monotone, ĝentile, sed rigide.
(SJ)
と女主人は単調に答えた。丁寧に。しかしぎくしゃくした感じで。
(TM)
●~e、~e, sed ~ e respondis 基本的にはこう訳すのですが、別々に訳すのもいいですね。